「私がみた犯罪現場のすべて」Part2

今回私たちのグループは幹部や一部の業者とリクルーターも逮捕されていますが、他の業者やタイ以外の国で詐欺を行っていた仲間、幹部よりも上の人間は未だ捕まっておらず現在も組織は誰かに引き継がれ動き続けていると思います。実際9月頃の時点での刑事の話では、私たちと同じ手口の詐欺被害が出続けているそうです。

私自身や捕まった仲間の一部はタイの前にフィリピンで詐欺を行っていたのですが、そのときの仲間はフィリピンに残っていたので、辞めていなければフィリピンか他の国で詐欺をさせられていると思います。場合によっては私たちが仲間の事を喋っているから、「今日本に帰ると捕まる」等と言われ帰らせてもらえず詐欺を続けさせられている人間もいると思います。事実、フィリピンにも日本国内で「かつての仲間が捕まっている」との理由で帰れずに、一年以上も詐欺を続けている人もいました。

前の仲間や今回一緒に逮捕された仲間の中にも、詐欺と知らないで来た、辞めさせてもらえない、続けないと給料が払われない等、そこに居続ける理由がある人が大半でした。前述したように、箱ではパスポートと携帯電話を箱長に預けなくてはならず、家族との電話も誰かが見張っています。

リクルーターからすればいい条件だけ並べ、海外に行かせさえすれば後はどうにでもなります。適当な理由で帰れなくしたり、給料を払わなかったり辞められなくしたりとやりたい放題です。

東南アジアなど海外で詐欺をする理由は、捕まるリスクが低く安全というのと、かけ子が飛ぶ(逃げる)ことができず管理しやすいという2つが大きいでしょう。
私たちかけ子は、比較的捕まる可能性が高いポジションですが、上の人間からは「国内ではすぐに捕まるから海外でやる」、「現地の警察やマフィアに話をして金を払っているから大丈夫だ」と聞かされていました。

タイやフィリピンでは警察にチップを払えば大抵の事は見逃してくれるのはよく聞く話ですし、事実、一度別の事で捕まった仲間がお金を払って出てきた事もありました。
後から知った事ですが、最近は東南アジアでも少し取締が厳しくなり、通報すればお金を貰える事もあるようです。事情は分かりませんが、私たちは箱の家主に誰かが通報したから捕まる事になりました。当時は知るよしもありませんでしたが。

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