「私がみた犯罪現場のすべて」Part2

実話ナックルズ2021年1月号に掲載された記事

【特別公開】パタヤ振り込め詐欺グループメンバー”獄中手記”
「私がみた犯罪現場のすべて」Part2

なぜ詐欺行為を続けてしまうのか

かけ子の給料は基本的に自分が騙しとった額の10%前後。人にもよりますが、1人の売り上げはひと月当たりだいたい500~2000万円位になるので、給料は50~200万円位になります。受け取りは特に決まりはないですが、基本的には日本に帰った時に各々リクルーターから現金で受け取ります。

私の場合は借金返済に当てられる事になっていたのですが、給料をごまかされたり、渡航費用や訳の分からない経費を上乗せされ一向に借金が減らないどころか「成績が悪いから日本に帰らせない」という話も出るほど。弱みにつけ込み、何かにつけて詐欺を続けさせ、自分は甘い汁を吸い続ける。これがリクルーターの汚い手口です。

私が詐欺に関わり一番感じたのは「やられた」という事。リクルーターの社長は最初から私に詐欺をさせるために助け、断れない状況を作り詐欺の話をしてきたのです。リクルーターは紹介した人間が騙して売り上げた金額の内20~25%(目安)を組織から受け取り、10~15%の給料を払った残りが取り分になります。何もせずに紹介した人間1人当たり50~200万円ほど稼げるためおいしい仕事です。だから甘い言葉や弱みにつけ込み組織に人を送り込むのです。私自身詐欺の現場で多くのかけ子を見てきましたが、詐欺に手を染めた理由は弱みが有るかお金ほしさの半々位だと思います。

組織はリスク回避の為かけ子とその間にリクルーターを挟み、リクルーターは弱みにつけ込む事でリスクを回避します。また、全ての作業毎にグループ分けしており組織全体を摘発する事が難しい構成になっています。電話機や電話番号を用意する業者、メールや手紙の配信業者、金の受けとりやプリペイドカードなどを換金をする業者等、どこか一つが欠けても代わりの業者が用意され組織は動き続けます。一部の業者は会社の体をしており詐欺組織と知らずに取引をしていた、と巧妙に言い逃れが出来る環境を作っています。

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