会場の熱気がさらに高まる中、ウェルター級のゴツゴツとした勝負が行われる。第16試合ではチャンピオン、Team零の舘野コングとCOMRADE脇田仁は殴っては組み、削っては殴り、互いの顔面を晴らしながら一歩も下がらず殴り合う。延長にも連れ込んだ大熱戦であったが「負けたら宇都宮帰れねえぞ!」とヤジが飛ぶ中、いつものように泥臭く戦い抜いた舘野コングに勝利は舞い込んだ。愛知勢として一矢報いたかった脇田は試合後悔しさを滲ませた。きっと再びこのリングに上がってくれるだろう。
そして待ちに待った瞬間は訪れた。ライト級王者を決する最終第17試合のリングに、チャンピオンTeam AGマモル、拳神・佐藤渉が上がった。太々しく相手を睨みつけるマモル。対する佐藤は「パパ頑張って!」という子供たちの声援を背に受け、王者の首を狙う。しかしチャンピオンが挑戦者を退けるのに時間はかからなかった。1R半ばには試合巧者であるマモルが何発ものパンチを佐藤の頬を打ち抜く。一瞬力の抜けた佐藤に組み付き、リングの上に寝かせた時に勝負はあった。息をつかせぬ上からのパンチ、蹴りの応酬にたまらずレフェリーは2人の体を引き離しマモルの腕を高々とあげた。
「勝者! チャンピオン、マ・モ・ル!」
リングアナウンサーを務めたUZIのコールが新木場に響き渡る。こうして全17試合の喧嘩マッチは幕を閉じた。
ソーシャルディスタンスの元、しばらく血に飢えていた漢たちの拳は、この日思う存分暴れることができただろう。次回開催は来年の予定。路地裏喧嘩劇場の物語はまだまだ続く。
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