【特別公開】パタヤ振込詐欺Gメンバー”獄中手記” Part1

末端は上の組織の実態を知らない

現地の箱は電話が並べられた3階建ての大きな一軒家でした。
そこには、私以外にも日本からやってきたかけ子が十数人いました。さらにかけ子(プレーヤー)を取り仕切る「箱長」と呼ばれるバイトリーダーのような存在がいました。この箱長のさらに上に、我々が安全に仕事できるように現地の警察やマフィアに手配する現場責任者がいるのですが、その中間管理職のような人間は基本電話で用件をすませ、現場には滅多に来ません。私たちはまず、パスポートを箱長に預けることになります。そのほか、箱長は上の人間との連絡や売り上げ等の数字の管理など、現場全体を仕切っていました。詐欺グループはピラミッド型になっていて、現地部隊のさらに上には幹部組織が存在しています。現場責任者はその上との連絡役でもあります。私のような末端の立場では、上の組織の実態は知りようもありません。
海外で詐欺と聞けば、騙しとったお金でリゾート地で豪遊しているイメージがあるかも知れませんが、飛ぶ可能性があるため基本的には外出する事は出来ず箱詰めです。一部屋に何人もが寝起きし、朝から晩まで土日も休み無く電話。仕事が終われば研修。売り上げが悪ければ説教です。「帰らせない」、時には「埋めるぞ」等と脅されて日々電話をかけ続けなければならず、決して楽しいものではありません。

私は詐欺をはじめてセブ(編注:フィリピン)、マニラ(編注:フィリピン)、パタヤ(編注:タイ)と3ヶ所の箱を経験しましたが、どの箱も15人以上が集まり詐欺を行っていました。仕事は日本時間の朝7時か8時から夜9時頃までです。新人研修は慣れている人間が交代で担当し、私も後半は新人に指導していました。騙す際の流れやマニュアルの使い方を教え、実際に電話を使い練習し、合格が出れば実際に詐欺を行います。

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