【特別公開】パタヤ振込詐欺Gメンバー”獄中手記” Part1

「リクルーター」の存在

私は1993年、福岡で生まれました。幼い頃に両親が離婚しましたが、韓国人で教育熱が強すぎる母から虐待され、離婚後は気性の荒い父に引き取られ毎日暴力を受けました。父は糖尿病で身体が弱り、思うように仕事が出来なかったため生活は貧しく、厳しい環境で育ちました。

そういった経験から「金が有れば辛い思いをせずに済む」と強く思うようになり、様々なビジネスに手を出しました。しかし根本的に努力を怠っていた事で失敗を繰り返し、事業の失敗や父の死が重なり借金を抱えた事で精神的に追いつめられ犯罪に手を染めるようになりました。

一度詐欺とは別件で捕まっていた事もあり、家も携帯も強制解約され、借金の返済も月に30万円以上ありました。困り果てていたところ、知人の社長に助けてもらい住む所や仕事を手配してもらう事ができました。24歳の時の事です。なんとか生活していましたが、数ヶ月程たった2017年10月頃、社長から話があると呼び出されました。そこで私の生活、借金、今後の計画の話になり、「詐欺をやれば月最低でも100万は稼げる」「海外でやるから99%捕まらない」と詐欺の話を持ちかけられました。この社長は裏では組織に複数人のかけ子を紹介しマージンを受け取る「リクルーター」と呼ばれる人間だったのです。

私は断りましたが、「じゃあこの状況どうするの?」と言われ、家、仕事、金銭面で助けられていた私に拒否権は無く「カタにハメられた」状況だと気付きました。詐欺の為に海外へ行く条件として、借金の立て替えを頼み、支払いの話をつめ、私は海外でかけ子を行う事になったのです。
それから詳しい手口を教わるために、マニュアルを受けとりました。電話のかけ方、喋り方、返答の方法などが具体的に書かれた文章マニュアルはワードで作成されていました。まずフリーメールで仲間と共有できる捨てアドレスを作り、そのアドレス内の未送信メールに添付されているファイルをダウンロードして印刷するんですが、電話のかけ方の分量はA4のコピー用紙にして5~6枚でした。返事の仕方マニュアルも別にあり、そちらも紙にして数枚程度のものでした。私は国内で一度印刷し、覚えてから捨てて、現地へ行き再度印刷しました。海外では捕まらない事が前提なので特別な紙や消えるインクなどは使用していません。
その後パスポートの取得費用、渡航費用、トバシの携帯を受け取り、組織の人間を紹介され本格的に段取りをすすめました。パスポートは偽名でもなく本物です。ビザは観光用も取得せず、そのまま現地に向かいました。最初の行き先はフィリピンでしたが、同国は現地で手続きすれば無限に滞在期間を延長できますし、次に向かったタイはビザランと言って期限が迫れば隣のラオスに一度出て再入国すれば滞在期間がリセットできるので問題ありません。全ての準備がととのった2018年1月27日、近しい人には「海外で日本食の仕事をする」と嘘を言い私は一人でフィリピンへと向かいました。

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