関係記者リレー連載 今週の裏 週刊文春 Vol.1

キタニ氏(仮名・30代)
某女性誌記者。趣味はナンパとギャンブル。
これまでに数々のスクープをものにした凄腕だが、私生活は「どうしようもないヤツ」(関係者談)

文春VS新潮ーー新たなバトル勃発!

長年、週刊誌の「売上部数1位」の座に君臨してきた週刊文春だけど、その百戦錬磨の編集部に激震が走ったのは6月中旬のこと。
売上2位に甘んじていた週刊新潮が売上を大幅に伸ばして、ついに文春を追い越した。なぜか。新潮の興隆と文春の凋落の理由はずばり、新潮が掘り上げた大ヒット企画にあった。
今月初旬、新潮は「食べてはいけない」と題し、加工食品などの実名を挙げ、巷に溢れる食品に関する批判記事を展開。従来、週刊誌のトップ記事は「政局」や「スキャンダル」が一般的だが、読者層(大体おやじ)に寄り添った「食品」というテーマが絶大な支持を得たってわけだ。
出版関係者と飲んだ時に当然話題になったが支持の理由を「食品の実名リストを見たいがために新潮を購入する読者が急増した。読者層は、日々健康問題に頭を抱える60代以上。新潮編集部は、このヒット企画を大々的に売り出し、翌週から左トップ・右トップと大見出しを展開した。結果、雪だるま式に読者を増やし、(新潮の)編集幹部は『26週はこれでイケる!』と鼻息が荒かったみたい」と語っていた。実際誌面を見てみると、なるほど、と関係者をも唸らせる読み応えだった。
他方、地団駄を踏んだのが、長年のライバルである文春だ。同時期に「安倍昭恵ネタ」や「紀州のドン・ファン」「新幹線殺人犯」など、王道の政局・事件記事を大きく報じたが、売上は新潮に遠く及ばなかった。
「(新潮への)アンチ・テーゼとして掲載したのが、『食べてはいけない』に対する批判記事です。18年7月5日号では『「週刊新潮」食べてはいけない「国産食品」は本当に食べてはいけないのか?〈食品安全委員会、東大名誉教授が異議〉』と題し、徹底的なファクト・チェックを地道に行い、新潮の記事に対して警鐘を鳴らした」(同前)
だが、ある文春関係者は嘆息しながらいっていた。
「もはや同業他社叩きは文春のお家芸だけど、今回は社内でも新潮に対するヤッカミとの声が多い」
こうなってくると新潮の栄華はこれからもつづきそうというのが関係者の読みではある。だが別の出版関係者が次のように感想を漏らしていたのもうなずける。
「(新潮は)かつての週刊現代と同じ道を辿るでしょう。『健康モノ』と『死ぬまでセックス』で一時期は週刊誌売上2位に急浮上した現代は、もはや見る影もない。一過性のヒット作に慢心していると、取材の”筋力”は確実に衰える。実際、現代にはいわゆる『事件モノ』や『スキャンダル』をこなせる力のある記者・編集者はほとんど残っていませんよ」
7月5日、文春の名物編集長の新谷学氏が局長に栄転し、新たに40代半ばの若手デスクがトップに座ることになっているという。
「新谷編集長の路線を引き継ぐ〝傀儡政権〟でしょう。一過性のブームに頼ることなく、今までどおりのスキャンダル至上主義でやるしかない」(前出・文春関係者)
新たな週刊誌の戦いが、またはじまるのか。

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