裏の人脈を使えない場合はこうしよう
タイのバンコクに行った時だ。スワンナップ空港で税関職員と揉めて、パクられた。
滅茶苦茶ビビったよ。ジープが来て、荷台に乗せられるんだ。しかも後ろ手錠で。言葉もわからないし携帯電話のバッテリーもない。何が何だかわからないまま、留置されることになった。
最悪だよ。クリスマスだったしね。
広くて薄暗い大きな部屋にもう一人イスラム教の変なオッサンがいたけど、無視してやり過ごした。結局公務執行妨害になって、裁判で判決が出るまでタイ国外へは出れないってことになって、ホテルや現地の知人のところを転々としながら一月程過ごすはめになったんだけど、その時に、俺なりに沢山調べたんだ。
まずやることは電話だよ。
向こうには日本大使館・総領事館があって、エンバシーって言うんだけど、逮捕された時に、そこに電話をかけることができる。すぐに日本領事館にかけて、自分の氏名・年齢・パスポートに記載されている情報・旅行会社の名前なんかを伝えて、次に日本語のわかる当番弁護士を用意して貰うんだ。費用は日本に帰国したら送金するでもいいし、一度の接見だけなら、確かそんなにかからない筈。お土産代位で賄える。
その弁護士が接見に来たら、日本にいる家族や友人に連絡を取ってもらって金を送金してもらうこと。
口座がなくても送金の手段はいくつかある。空輸だったり。後は弁護士を信用して弁護士宛に送金でもいい。金が本当にいる。
俺は出版物の印税をたまたま持っていて、賄賂もチップも保釈金もなんとか払えたから、結果帰国することが出来たけど、金がなかったら、向こうのムショに送られていたよ。
金さえあればまだなんとかなる。
刑務所でも、金があれば煙草だって買えるんだ。カミンスカスだって、しこたま持ってたんだろうけど、もう無理だよ。日本に身柄が渡るということは、全て日本のやり方になる。こっちじゃ金があろうがなかろうが扱いは同じで、携帯電話も使えない。公判が決まってから保釈の申請を出して保釈金をたらふく積む気だろうが、一人国外に逃げていた野郎なんだから、保釈請求が却下される可能性もあるよ。
まぁ、明日は我が身で、誰だって海外でパクられるなんて起こりえるからね。 もしも東南アジアに旅したり、遊びに行く機会があったら、幾らか余裕を持って旅立つことをお薦めするよ。
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