「あんぽら」 第1章 地下地下の賭け喧嘩 デビュー編
6話 勝たな!殺されるんや!
「は~い、ストップ、ストップ! 真ん中戻れー」
ボッコボコにされているトモヤを庇うようにクニヨシくんが割って入り、サヤマの攻撃を止めた。
トモヤは戻りながら、…コイツのパンチ、そんな痛ないなぁ、さっきの肘鉄の方が効いたわ~、格闘技のパンチやな、どないしよ、まぁ、こっちは、喧嘩や喧嘩!デコでパンチ受けるか?足踏むか?…と作戦を考え始めた。
パシ!クニヨシくんのゴングとともに、ダッシュでサヤマは前蹴りとパンチの応酬をしてくる。
…またや、畜生、アホンダラ!…しばらくガードの体制で我慢した。…スタミナあんなコイツ、これが空手家かい… おっしゃ!今や!…待っていた牽制の前蹴りをかわし、サヤマの左足を思い切り踏みつけた。右に身体がよろけていくところを飛びかかり顔面にパチギをかました。
…これが親父仕込みのパチギや!… トモヤは喧嘩に負けて帰ると家に入れてもらえなかった。ある時に顔を腫らして帰ると、親父に聞かれた。
「なんやそれ、どないした?」
「原チャでコケた」と言うと
「相手は何人や?」とこっちを見透かしてくる。
「そうか、トモ、喧嘩はな、先手必勝じゃ、1番使えんのはパッチギじゃ、足踏んで、鼻の下入れたれ!」と
「ここやここ!」とデコを差しながら言われた。
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