悪魔が修道女に憑依
300年以上前に書かれた“悪魔の手紙”解読
封印解いたイタリアの研究チーム
17世紀に実在した修道女が持っていた「悪魔の手紙」がこのたび解読され、話題になっている。
今から約300年前、イタリアのシチリア島にあるパルマ・ディ・モンテチアロ修道院に、マリア・クロシフィッサ・デッラ・コンチェツィオーネという修道女がいた。15歳から修道女として神に仕えていたマリアは、敬虔なキリスト教徒であった。
1676年のある朝、マリアが目覚めた時、体中がインクまみれになっていたことに気付く。そして、机の上には謎の手紙が残されていた……。この手紙は、マリアの肉体に悪魔が乗り移り、自動書記により手紙を書かされたと伝わっている。
手紙は古典的なアルファベットの奇妙な羅列から成っており、長らく解読不能のままであった。しかし、イタリアのルドゥム科学センターの研究チームは、ダークウェブ上に公開されていた暗号解読ソフトを使用して、「悪魔の手紙」の解読にこのほど成功したのである。
気になる手紙の内容だが、人間と神と悪魔との関係性について書かれたものだったという。
「神は人間が作り出したものであり、このシステムは誰にも役立たない」というように、神を否定するような内容だった。
研究者たちは、マリアは語学堪能だったため、彼女が独自で作った言語で書かれた文章であるという仮説を立てた。そして、支離滅裂な文章であったため、マリア自身が統合失調症だった可能性もあるとした。
修道院の禁欲的な生活に抑圧を感じたマリアが、“悪魔が乗り移ったという体裁”で手紙に書き綴ることで、欲求不満を開放していたのだろうか? 窮屈な生活に不満を感じながらも、神を否定することは信仰を否定することになるので、彼女の中で葛藤が起こっていたとも考えられる。
2014年、教皇フランシスコにより「国際エクソシスト協会」をカトリック団体として公認すると発表した。日本人には馴染みがない悪魔だが、キリスト教徒の多い欧米では悪魔に取り憑かれたという人々が増加しているという。だが、悪魔祓いを求める人が増える一方で、慢性的なエクソシスト不足が起きているというのだ。イタリア・ローマにあるバチカン教皇庁レジーナ・アポストロルム大学では、エクソシスト養成講座も開かれているほどだ。
キリスト教の最高峰であるバチカンがエクソシストを公式に認めたということは、悪魔の存在を認めたことになる。
修道女であるマリアは敬虔な信者だからこそ、悪魔に魅入られてしまったのかもしれない。
(白神じゅりこ)
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