はにさん(54)
大学在学中から出版社でバイトを経験。卒業後写真週刊誌の事件記者へ。今も現役
新潮の「爆笑太田裁判」に注目
文春と新潮は「仲が悪い」というけれど、日本を代表する週刊誌で発売日が一緒となれば、そんなことは当たり前の話。実際、両誌の記者同士が殺人事件の現場でかち合えば、熾烈なバトルが繰り広げられる。この連載で誰かが書いてたけど、郵便受けで相手の記者の名刺を見つけたらビリビリに破くってのも本当。そのくらい熾烈なんだな、争いが。いや、争いなんて言葉は生ぬるい。文春と新潮の記者は取材現場で「殺すか、殺されるか」のヒリヒリした空気を漂わせているものなのだ。
最近は同じ現場で切磋琢磨するほどの大きな事件はなかったが、大阪府警富田林署から逃亡したレイプ魔が大阪中を逃げ回っているという事件では、やはり両誌はそれぞれ複数の記者を派遣したようだ。8月22日発売の両誌を見比べてみると、警察の失態をねちっこくバッシングしている新潮に対し、レイプ魔のかつての刑務所仲間にまで取材対象を広げていた文春の圧勝という印象。でも、そこにはライバル紙同士の「殺し合い」の形跡はない。「新潮、もっと頑張れ!」と言いたいところだ。
もうひとつ。
先日、文春関係者と食事をした折り、ひとつの話題で盛り上がった。前々回のコラムでも触れていた、爆笑問題・太田光の裏口入学の記事に関して。その後、太田側は橋下徹弁護士に名誉毀損の訴訟手続きを進めるよう依頼。今月末、新潮社に訴状が届くようだ。
文春関係者は、こんなことを話していた。
「あの裁判さぁ、新潮は負けるんじゃないの。第2弾で(裏口入学を誌面で告発した)『日大関係者』が登場して実名告発をすると思っていたら、今号ではめちゃくちゃ薄っぺらいオピニオン記事を掲載していてビックリ。ネタ元がビビって逃げちゃったんだと思うよ。だからこそ苦肉の策でいろんな有識者に取材して『太田は笑いに変えないで訴えるなんてダサい』という印象操作的な記事を掲載したんでしょう」
まさに正鵠を射ている。新潮は、「裏口入学をしたのは事実なのか、否か」という本件訴訟の事実関係に関して、太田側と〝正攻法〟では勝負できなかったのだ。
週刊誌記者にとって「どのくらい訴訟に買っているか」は、腕の良し悪しを知る指標のひとつ。いくら文春だって、訴えられることが勲章だった時代なんて遠い昔のことで、このご時世、記事の相手方から訴えられれば「それはご愁傷様。でも、勝ってナンボやぞ」という風潮なのだそう。
この裁判、見ものですわ。
Leave a Reply