トモヤの前を走るショーキが転がるように滑りこみ、クニヨシくんに土下座した。
「すいません!お待たせしました!連れてきました!」
「このあんぽらがぁ!今日や言うたやろうがぁ!」
クニヨシくんが襟を掴み持ち上げて、思いっきり顔面を何度もシバいた。そのまま前蹴りをして、ショーキは駐車場の片隅に吹っ飛んだ。その瞬間、今まで静かだった会場に観客からの罵声と怒声がいっせいに地下に響きわたった。
「おらっ、クニヨシ!いつはじまんにゃ、われ!ナメんとんか!」
「はよ、始めんかい!われ!わしがなんぼ張ってるか、分かっとんか!」
「われ、クニヨシ、いてまうど、はよせんかい!」
…ヤバぃ、ホンマにショーちゃん、殺されるわ!…トモヤがクニヨシくんに駆け寄った。
「ええからやらせてくれ!早う、やらせてくれ!」
するとクニヨシくんがトモヤの肩を掴んでパイプ椅子で仕切られたリングに引っ張っていった。
「よぅ来たな、中ぁ、入れや」
写真 福持英助 / デザイン 櫻井浩(⑥Design)
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