【瓜田速報】超一流役者ピエール瀧はコカインで箔をつけた


瓜田純士
うりた・じゅんし。1979年、新宿歌舞伎町に生まれる。少年期を不良として過ごし、10代を暴力団に捧げて、獄中に。懲役で物書きに目覚める。著書に『ドブネズミのバラード』等多数。『遺書〜関東連合崩壊の真実とある兄弟の絆〜』がベストセラーとなる。地下格闘技やTHE OUTSIDERにはアウトローのカリスマとして参戦していた

瀧の「闇演技」はバレる不安と恐怖がうんだ

路地にまき散らされた小便が渇くと、誰もが知る嫌な匂いになる。さらに数日経つと風と一緒に乾燥した硫黄含有化合物の微かな不快臭が鼻をつく。もしくは、小学校の時に理科室で遊んでいる時に発見した古い試験管を嗅いでみるとなにかの薬品臭がした。
コカインを始めて使った時の第一印象。
臭いけど、初めての匂いじゃない。純度が高ければ高いほど粉末は黄ばんでいき、匂いもあったと記憶してる。
ここの所、コカインで逮捕されたピエール瀧の出演作を観てみた。白石和彌監督の『日本で一番悪い奴ら』や『凶悪』。少し前だと同監督の『孤狼の血』や北野武『アウトレイジ最終章』なんかも観たけど、やっぱりピエール瀧の存在感は半端じゃないよ。『凶悪』では実在する死刑判決を受けた極道の役なんだけど、もう本物の“不良”だよ。眼つきに始まり、ちょっとした振る舞いから、怒号、怒声、泣き顔まで、あれは本物のヤクザか悪人。あれを芝居として演じてるんだから本当に凄い。あれだけの役者は滅多にお目に掛かれない。別にコカインぐらい隠れてやらしておけって思っちゃう程の演技だった。
あの奥深さは薬物を摂取してるからとかは関係ない。
あるとすれば、20年もの間薬物に溺れていることを家族にもステージの客、テレビやラジオの前にいるファンや関係者に隠し続けてきた苦悩やバレた時の恐怖。それが闇となって“俳優ピエール瀧”を作り上げたんだと思うな。
俺がコカインを覚えて少しの間遊んだ時期が二十歳ぐらいの頃。あくまでも俺の場合だから何の参考にもなりはしないだろうが、あんなもん鼻血が出るまで使用しても、何がなんだか、つまり、なにが効いていていつ切れたか、なんて全くわかってなかったよ。
それもその筈で俺の場合は常に“イッちゃってた”から、寝ないしキレやすいし勘ぐるしで、シャブやコカインやったところで、何もやってないときとあまり変化がなかったんだよ。それを考えたら高くついたね。

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