
今なお多くのファンが
無断公開を
強行しようとするグループも
その生き様を貫き、肝がんにより入院先で死去、82歳だった。ただ、この訃報に際してはNGとなった映像がかなりあったと話すテレビマンもいる。
「ウチの情報番組では、過去の出演作を紹介するところで、ヤクザ映画は外されました。『仁義なき戦い』は使わず『トラック野郎』を流したんです。ヤクザ映画はモデルに実在の暴力団幹部が描かれているものが多いので、地上波放送はもうできないんです。これは高倉健さんが亡くなったときと同じですが、文太さんはさらに制約があって、政治活動をしていたことにできるだけ触れないように局の上層部からお達しがありました。反政権の姿勢だったんで、局としては波風立てるな、と」
実際、訃報を伝えたニュース番組の大半は菅原さんの社会活動について触れずじまい。「報道ステーション」(テレビ朝日系)と「NEWS23」(TBS系)は例外的に触れていたが、たとえば吉本興業の闇営業問題で威勢の良かった「スッキリ!!」(日本テレビ系)でも、これは無視された。
「農業をやっていたことも、無農薬推奨の話が農水省の方針と反するってことでNG入りしていました。NHKでさえ、その発言をカットしたんで、どこもかなり神経質でしたよ」(同)
菅原さんは生前、憲法改正を目指す安倍政権を「異様だ」と批判し、「憲法九条は世界に誇れる日本の宝」、「改正を煽る人たちは、いざとなったとき戦場には行かない人たち」と叫んでおり、各イベントやメディアでは起用NGのリスト入りしていたともいわれる。前出の反原発グループメンバーは「政治家が菅原さんに圧力をかけていた話も映像に入っているので、すべての日本国民が見るべきものだと思う」と映像の公開を望んでいる。
ただ、無断公開すれば問題が起きるのは明白だ。
映像は公開を前提として撮られておらず、たまたまカメラが休憩の場を映していたもの。映像提供者は「まずご遺族の許可が必要ですが、それが許されても、権利を持つテレビ局が認めるわけがない。公開するなら揉めること覚悟でやらないといけない」と話しているという。
この話を受け、グループのリーダー格は「映像を無断で持ち出して公開したとなれば、グループの活動自体に正当性がなくなる」と現時点では慎重姿勢を取っているというが、公開を望むメンバーとかなりの激論が繰り返されたという。
「こうなったらグループから抜けてでも公開を強行してはどうかという意見も出ていていますが、それでグループが2つに分裂してしまうと、本当の敵である原発推進派の不戦勝みたいになってしまいますから」
芸能人の政治発言には反発が根強い日本、その意味では菅原さんの残した発言は大きく、たとえ舞台裏での話であっても注目に値するのはたしかだ。だが故人の言動を政治活動に利用することへの懸念もあり、現時点で未公開映像は宙に浮いたままである。(片岡亮/NEWSIDER)
Leave a Reply