“攻めの笑い”は死んだ
先日、TBS系バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』の中で、芸人を車で連れ去り監禁するという犯罪スレスレのドッキリ企画のロケが行われた。
「その冒頭の拉致シーンの目撃者から通報が相次ぎ、番組スタッフが警視庁から厳重注意を受けたと各紙が報じたのです。
特に問題となった拉致部分のロケを渋谷区内の人通りの多い場所で行ったのが重大なミスでした。
この番組自体、コンプライアンスにがんじ搦めになった現況を打破するような笑いを求めているので、今回の騒動もそれほど驚くものでもない。ただ余りに段取りが雑すぎました」(番組関係者)
たびたび問題を報じられる同番組だが、その後、フジテレビ系『ワイドナショー』でコメントを求められた松本人志は、冠番組の当事者として謝りつつも、番組スタッフの攻めの姿勢を肯定するような発言をしたことで話題となった。
「『水曜日~』には、ダウンタウンがかなり前から付き合いのある、関係の深いスタッフが数多いからね。こういう騒動も松ちゃんは暗に認めてるんじゃないのかな」(ベテラン放送作家)
そもそも昨今は何かと規制が多すぎて、番組を作る側も試行錯誤を重ねているのは事実だが、在京キー局の中で特にコンプライアンスに手厳しい番組作りをしているのが、意外にも年間視聴率1位、2位の日本テレビとテレビ朝日である。
「以前放送していた日テレの『トリックハンター』という番組では、出演タレントをガチで詐欺ドッキリにかけて、金を払う寸前まで追い込む企画が人気で、毎分視聴率も高かったから度々OAされていたけど『犯罪を助長するのでやめろ!』と一部視聴者層から局にクレームが相次いだらしく、BPOが動き出すと厄介だと判断して企画を中止にしたということがあった」(番組関係者)
クレームを恐れるばかりに人気コーナーまで帳消しにするようなテレビ局が結果的に年間視聴率トップ常連とは皮肉なものだが、そのような攻めの笑いを楽しみにしている視聴者も多いということを忘れないでほしい。このままでは“ザ・バラエティ” は完全に終わってしまうのではないか。(瀬戸ジーニアス)
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