新型コロナウィルスが引き起こした「防塵マスク不足」はテロか

新型コロナウィルスが引き起こした「防塵マスク不足」はテロの可能性とは

マスク関連銘柄を売り抜けた中国人が暗躍？

「これはもう一種のテロみたいなものだと思う」

東北地方の総合病院では２月上旬、医師やスタッフたちのための感染予防マスクが底をつき、納入業者も「メーカーの製造が追いつかない」と商品を卸せない状況となった。院長が直接この事態を県医師会に伝えたが、「どこの病院も同じ問題を抱えていて現時点で対応できない」との回答だったという。

病院側でマスクの供給ができないため、医師らはガーゼなどで自作のマスクを作ってしのいでいるというが、「マスクがないなら怖くて働けない」と欠勤する外科医も出ているという。

「救急車に配備しているマスクも通常９００枚あるところ、他へまわしてしまったので５０枚程度しか残ってないし、これも数日中になくなる」（病院関係者）

新型コロナウイルスによるマスク需要の急騰で、市販のマスクのみならず、医療用マスクにも“買い”が殺到。都内のマスクの卸業者によると、皮肉にもそのきっかけを作ったのは「中国への支援」だという。

なにしろ感染の拡大で、中国からはマスク不足による調達依頼が日本へも殺到。中国の都市と友好都市などを結ぶ県や市が１月下旬から一斉に支援の動きをとった。

中国でも、日本からの支援がニュースとなるや多数の省や市からの支援要請が一斉に始まった。この支援要請には国内にある各地の中国人会の働きかけもあり、マスクの製造元が中国である場合は、現地業者が日本への輸出をストップするところもあったという。

さらに中国人記者は「韓国やタイ、マレーシアなどにも支援要請が広がっていたが、中には支援要請と見せかける転売業者もいて大量のマスクが盗まれる事態もあった」と話す。

結果として日本人のマスク不足が始まり、高額なネット転売を狙って業者に高めの買い取りを持ちかける者も急増。２月８日にＷＨＯが大量買いを控えるよう通達したときにはすでに各地で在庫切れ。異常事態となったのは医療関係だけではなく、建設作業などで使う防塵マスクまでもが買い漁られてしまい、作業員がマスクなしで危険な業務をやらされるはめになった。

この現象を大喜びした連中もいる。株式市場では抗菌素材やマスクを製造する企業の株価が急上昇。経済メディアや投資家たちが、注目の「マスク関連銘柄」を煽って売買が加速。儲かった成果を自慢する連中も現れた。

これを見た前出の病院関係者は、逆に「中国人が意図的に日本をマスク不足にしたってウワサは本当ですか」と記者に聞いてきた。そんなバカなことはないはずだが、パニックの間、日本株を短期で売り抜けた中国人投資家たちも多かったところを見れば、そんな経済テロも想像してしまう事態だ。（片岡亮／ＮＥＷＳＩＤＥＲ）