【瓜田速報】渋谷養護施設長刺殺に思う
「逆恨みしない生き方」
うりた・じゅんし。1979年、新宿歌舞伎町に生まれる。少年期を不良として過ごし、10代を暴力団に捧げて、獄中に。懲役で物書きに目覚める。著書に『ドブネズミのバラード』等多数。『遺書〜関東連合崩壊の真実とある兄弟の絆〜』がベストセラーとなる。地下格闘技やTHE OUTSIDERにはアウトローのカリスマとして参戦していた
「寂しさ」と「凶暴性」は紙一重
なんとも痛ましい事件が起きたな。
以前そこに入所していた田原仁容疑者(22)が渋谷の児童養護施設「若草寮」の施設長を刺して殺しちまった。殺された大森信也さん(46)の遺族も「どうしてうちの人が……?」と悲しみに暮れたと思うとなんともやるせない気持ちになる。
この田原ってのは事件前は都内のネットカフェにいたらしいよ。3年前に施設を退所した後、施設に保証人になってもらって東村山のアパートで暮らしてたらしいんだが、暴れて部屋の壁を破壊したりして追い出されていたらしいんだよ。
それでネカフェにってことだろうけど、一人で自宅にいて突然壁を壊すとは考えられないから、女とでも同棲してたのかな。女が出ていく出てかねぇってなって部屋で暴れたとか。昔の俺ならそうだったな。
日本じゃ今、5万人近くの児童が施設での生活を送ってると聞いたことがある。理由は「貧困」と「虐待」と「親に捨てられた」の三つがほとんどらしい。捕まった田原ってのがどんな理由で入所していたのかは知らんが、この施設長に恨みがあったと言って刺したところを見ると、もしかしたらうまくいかない生活や自分の人生をこの施設のせいにしてたのかも知れないね。
小学校から中学に上がっていくような年齢にそいつのその後の人格が形成されていくらしい。でもその頃に親の愛情を受けていなかった奴だとしても、ほとんどは事件なんか起こさない。言い訳をしてるだけなんだ。
だけど、通常の公立の学校じゃなくて施設にぶち込まれた場合、そいつに親からの愛や友達との友情、先生からの教育、そのどれかが大きく欠けていると、普通の子どもたちとはズレが生じてしまうこともある。
俺の話になるけど、小学校の時に両親が離婚して、まぁ離婚する前も親父とはほとんどの思い出もなにもなくて。これが後のヤクザ稼業入りに繋がってるんだと今は思う。あそこじゃ、疑似の「オヤジ」や「アニキ」「兄弟」がいるからね。なにも寂しくなくなるんだよ。
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