韓国ヤクザが捜査線に浮上
世田谷一家殺害事件の現場から歩いて10分ほど成城学園駅方面に向かうと、上智大学国際交流会館が見えてくる。かつてそこは留学生会館と呼ばれ、100人以上の外国人留学生が暮らしていた。Kが事件当時生活していた場所である。現在も当時と同じ建物が立ち、留学生たちが忙しそうに行き来していた。ここに18年前、警察の捜査員が大挙したことなど当然知りもしないだろう。
「Xはこの場所に住む留学生ではなかったが、私と同じくここに友人が多く、よく訪れていた。だから土地勘はあったはず。元々は韓国海兵隊の出身で元軍人にはよくあることだが、カンペ(韓国のヤクザ)とのかかわりもあった。おそらくこれが警察が見立てている真犯人だろう」
中朝国境のカンペ事情に詳しい人物に聞いてみると、現地では暴力沙汰になると、ハンカチを刃物の滑り止めに使う例があるという。これは警察がしつこく聞きたがっていたことだ。事件を取材した大手紙記者も「韓国ヤクザが捜査線上に浮上したことは、事件当時捜査関係者から聞いたことがある」という。証言は奇妙に合致する。
「でもXは事件当時も、10年後も、そして現在も、所在不明。警察はKにXの携帯の連絡先を含めた個人データを要求したようで、やむなく応じるとそれをシラミ潰しに調べたといっていました。他に繋がりのある人物がいないか、それが知りたかったのかも」
かつて有力な手がかりとなっていた留学生会館も今は姿を変え、閑静な住宅街の中、テニスを楽しむ若者やこどもの笑い声が響く公園の横に一軒ポツリと残る殺害現場には、目的を忘れたかのように立ちすくむ警察官の姿があるだけだ。周囲を歩くと防犯カメラがそこかしこに取り付けられているが、安全という印象よりも事件の狂気性を物語るようで、妙に寒々しい感じがした。
13年前の大晦日、幼いこどもふたりを含む一家4人を無惨にナイフで殺した犯人は、いったいどこに消えたのか。カギは韓国人Xが握っている。
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