今週の裏文春vol.30 取材の極意「外張り」と「ピンポン攻撃」

【関係者リレー連載】今週の裏「週刊文春」
取材の極意「外張り」と「ピンポン攻撃」

長谷川さん(40代)
ビジネスサイトで活躍するフリーライター。週刊誌業界に友人が多く、若手編集者からも信頼が厚い

新人はツライよ

週刊文春には毎年、2~3人の新人社員記者が配属される。男女比は半々だが、女性にとって週刊の仕事は過酷そのもの。
入社後、すぐにベテランの特派記者の「預かり」になり、入社数日で事件現場に送り込まれるわけだが、その半数は「こんなことをするために入社したわけじゃない」と号泣し、異動を願い出ると言われている。
いったい、どんな仕事をさせられるのか。
「われわれ記者にとっての基本動作。つまり、寒いさなか、20時間以上の外張り(路上での張り込み)や、殺人事件の遺族へのピンポン攻撃(インターフォンを押して取材すること)など。
事件の場合は、容疑者の自宅周辺を1人100件は聞き込みをさせる。こんなの文春記者にとって当たり前の作業なんだけど、育ちの良い子は逃げ出しちゃう」(文春関係者)
一流大学を出た若者が入社早々、20時間の張り込みをさせられたら普通は辞めちまうだろ。それでも過酷なトレーニングを乗り越えた者だけが12~13年後の特集デスク、そして40代半ばから後半にして編集長就任という希望の道が見えてくるのだ。
さて、ここ数年の文春の新人記者の評判は。
「極めて優秀なんですよ。まるでマシーンのようにガムシャラに働く新人が多くなっている。換言すれば、まったく空気が読めない人種。ある新人は、たまたま事件現場の聞き込みで暴力団関係者にブチ当たってしまい、ガンガン追い込みをかけられたらしい。でも、本人はあっけらかんと『ヤクザからは情報なしでしたわ』と。全然へこたれず、ある意味、ぶっ壊れた精神力の持ち主だった」(同前)
その一方で、月曜発売の週刊現代、週刊ポストの新入社員たちは、まるで違う人種なのだという。
「講談社、小学館の新入社員は選民意識の塊みたいな勘違い君ばかり。事件現場になんて行ったことがないくせに『こういう筋書きで事件をレポートできないですかねえ』なんて、現場のベテラン記者に頭でっかちな指示を出すばかり。取材のイロハなんて何も分かっていないのに偉そうなことを言うのが仕事だと思っている」(出版関係者)
仕事もできないのに30歳で年収1000万円に達するという講談社、小学館の社員編集記者。そりゃあ、勘違いするよ。一方、泥水をすする日々を送り、彼らの10倍は働いている文春の社員は、その半分くらいの給料しか貰っていないそう。なんだかなぁ。

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