【闇シリーズ】ニッポン最後の怪人康芳夫の「暗黒老人日記」
第三回 麻原彰晃が来た その4
「オウム」と「天才」
2018年9月×日。
昨今世間を賑わせている麻原の処刑の是非についてだが、個人的には処刑されるべきだと考えており、さらにいえばその執行は遅すぎたとすら感じている。
事件も完全に終わり、教祖たる麻原は言い訳に終始して、一切の責任を負わなかった。
このことは麻原が宗教的リーダーとして根本的に資質を欠いていることを証明し、麻原が《ゴミ同然の教祖》であったことを示しているだろう。
彼が死刑になったところで、よほどの後継者が出てこない限りオウムの残党たちに新たな展開はないだろう。
上祐史浩くらいのタマはいくらでもいるが、あのクラスではどうにもならない。《四流教祖》ではあるが、麻原は、よい意味でも悪い意味でもなかなか出てこないレベルの人物ではあったのだ。
今回死刑となった林郁夫くん(慶応大学医学部卒)を含め、東大医学部卒であるとか、学業レベルでのトップ中のトップであるエリートたちが、オウム真理教の幹部には10名近くいた。これが私にとっては未だもって解けない《オウム最大の謎》である。
彼らのような天才は、《宇宙の摂理》を理解した果てに、《恐怖心》を覚えたのではないかと推測する。
世に様々な宗教がある中、「たまたまオウムがあったので入った」ということがあるのだろうか。
オウムの教典は基本的には麻原がいろいろな宗教から引っ張ってきたもので作られているのだが、それが特別に優れていたわけではない。
私はかの理論物理学の大家、スティーブン・ホーキング博士とも交流はあったのだが、彼も最後は訳のわからぬ宗教に入った。それは彼の先人であるアルベルト・アインシュタインにしても同様であった。
彼らのように常人にはわからない《宇宙の摂理》《人間の行き着く先》というものを追求してゆくと、我々市井のものにはわからぬ《恐怖心》を感じてしまい、宗教に入ってしまうとでもいうのだろうか? そうでなければ説明がつかない両者の最後なのである。
生前、吉本ともこのことについて話してみたことがあるのだが、彼も首を傾げていた。
その時は「信者になったエリートたちが実社会に興味がなかったから」ということで納得したが、本当はそんな簡単な話ではない、実にやっかいな話だと思っている。
これがいまだに解明できない《オウム最大の謎》である。この《謎》が解けない限り、また第二、第三の「オウム事件」は起こりうるだろう。
康芳夫(こう・よしお)
1937年東京生まれ。《虚業家》を自称し、1970年代〜1980年代にかけて「謎の類人猿オリバーくん」「国際ネッシー探検隊」「モハメド・アリ招聘」等々奇想天外な企画を連発した《国際暗黒プロデューサー》。
『家畜人ヤプー』の全権代理人としても知られ、現在は80代を超えて俳優業に進出。映画『渇き。』『ディアスポリス』『干支天使チアラット』等で怪優として存在感を発揮している。
・公式ツイッター=@kyojinkouyoshio
・公式サイト=http://yapou.club
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林郁夫は死刑になっていません。無期懲役です。