【拳ちゃんの渋谷警察24時】俺が見た渋谷のリアル

【拳ちゃんの渋谷警察24時】俺が見た渋谷のリアル

ゴッサムシティの夜

時は2019年10月31日、深夜。
今年もハロウィーンの夜がやってきたぜええええええ!
ニヤニヤが止まんねーのは俺だけじゃない。ハロウィーンには毎年流行り物が存在する。今年の主役はやっぱ髪をグリーンに、顔を白塗りにしたピエロたち。ヒット中の映画『ジョーカー』の扮装だ。お前らもウズウズしてるんだろ?

今年多く見かけた仮装がこれ

渋谷区はスクランブルを封鎖して厳戒態勢。1億円を投じて対策を取り、路上飲酒も条例で禁止。街灯まで落としてやがる。が、皮肉なもんで、震災直後のような暗がりが逆にゴッサムシティみをかもしだしちまってる。DMMのビートたけしの顔が不敵に浮かぶ下で、今年はジョーカーたちが暴徒と化し、軽トラに火をつけ盗品略奪! ヒャッハーすぎる宴がくりひろげられるのか!?
「ねーねーw 写メ撮ろうよ!」
「えーw どうするぅ!?」
ん? あれ?
クっっっっソ平和じゃねーかセンター街。路上飲酒禁止のルールを守り、和気あいあいと写メ大会。学園祭かよ。つうか日本人より多い外国人。“インバウンドハロウィーン”っぷりが例年以上にえぐい。

日本人よりも外人の方が多い

いやいやいやいや、暴徒たちの主戦場はこの奥だ。センター街のマクドナルド前。昨年は軽トラ破壊が起こった真のゴッサムシティ。軽トラ事件の翌日には「俺たちが治安を守る!」と謎に地方のヤンキーたちが集結し、むしろヤンキー同士が爆竹を鳴らしてバトりまくってた模様は去年レポートしたが、今年もやはり! マック前にオールブラックスのような屈強な輩が陣取ってる。
と、その時だった。
「てめえコラ!』
ヤンキーとスーツの仮装男が揉め出した瞬間、駆けだすオールブラックス。
「おい! やめろ」
秒で二人を地面に取り押さえるオールブラックス。ん、腕には見覚えのある腕章が! あっちゃーマジか。

揉め事も一瞬でセキュリティが治めた

このセキュリティチームは都内のクラブなどで知られる凄腕集団。ガキどもの喧嘩なんか左手一本だし、外人が小競り合いを起こしても、騒ぎになる前に余裕で寸止め。スピーカーから音を鳴らす東南アジア系のパリピ集団が来ても、警官のようにヒステリックにならずに、「音はダメダメ」と笑顔でバッテン印を作りおさめてしまう。見事なお手前である。俺としちゃあ商売上がったりだが。

おなじ阿呆なら踊らな損

そんな中、唯一ゴッサムシティ化を見せていたのは東急ハンズ前だった。
公園通り方面から地方ナンバーのカスタムカー&バイク(電飾系&音響族)がEDMをバッキバキに鳴らしながら次々と坂を下りてくる。さすがはヤンキーの末裔だ。祭りを盛り上げるのは「装」より「騒」だということがDNAレベルでわかってやがる。

特攻服の仮装をしたヤンキー娘も

「歩道に上がりなさいッ」「音を下げなさいッ」
警察が慌ててイエローテープを張るがラチあかない。ヤンキー系だけじゃなく、ピカチュウをプリントした黄色いフェラーリまで乱入してきて、
「やばっ」「ウェーイ!」
と道の両端にはギャラリーがならぶサマは、まるで往年の暴走族の集会。「ビーーーっ!」とクラクションを鳴らしながら練馬ナンバーのフルスモークセダン(物見遊山で来たっぽい本物の輩)が来た時だけ静かになるが、
「ユースカムファッカー!」(臭えんだよ死ね!)
と突然白人の女が叫びながら中指を立てても、「ウェーーイww」とか逆に盛り上がっちゃって、もはやなんでもいいらしい。おなじ阿呆なら踊らな損だわな。
しっかしこいつら、酒も入ってないのに大した盛り上がりだな……と思ってたら、チラホラ画用紙を広げてる若者がいる。「ショット500円」。闇テキーラだ。行政指導が入ったコンビニでは今夜アルコールが買えないから、インディーズな商売を思いついたらしい。飛ぶように売れてる。
その横で、いまいましそうに舌打ちする初老の男がいた。

渋谷の住人たちにはただただ迷惑なのだろう

「なんだ、今日便所も使えねェのか」
ママチャリに家財道具一式をつめこんだ宿なしだった。渋谷に棲みつくガチなジョーカーだ。クリーンになりすぎたハロウィーンでは、飲み残しのアルコールにも、たいしたシケモクにもありつけないんだろう。道路をはさんだシスコ坂の下では、いつもここを寝床にしている婆さんが、すでにダンボールにくるまって眠りについている。

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