【告白】偽装離脱したヤクザの悲しき末路

【告白】偽装離脱したヤクザの悲しき末路
「カネ持ってたら、ハメられた」

元関東系暴力団三次団体構成員(40代)。
先代組長の側近を務めた生え抜きのエリート幹部

外で稼ぐ、はずだったのに

組の跡目相続のゴタゴタで邪魔者扱いにされ、新組長に難癖を付けられて絶縁。理由は先代組長の側近だったというだけでなく、俺が金を持ってるから。でもそれは表向きの理由。金庫番だったから外で仕事をして欲しい、というのが理由の偽装離脱だった。
でも、新組長の本心は違ってた。
いつか自分の新体制を脅かす存在になるんじゃないかって疑念だけでハメられたわけだ。自分で言うのもなんだが、組の屋台骨を支える経済派ヤクザだった。それが武闘派の新組長に嫌われた原因かもしれない。
独自にいくつもの事業を展開していたからなぁ。闇カジノなどはともかく、キャバクラ、高級クラブ、飲食チェーンなどの正業は、組のシノギではなく個人のシノギだ。そのすべてを離脱してからしばらしくて、強奪された。関東所払いだからシマ内(縄張り内)にある箱物、つまり事業所や店舗などが必要なシノギも、気付けば完全にアウト。
奪われたのはヤクザとしての地位や事業だけでない。たしかに絶縁状は出たが、もちろん偽装なのだから、復帰可能な一時的な破門だったはずだ。だけど絶縁状が回った直後に俺を警察に売って逮捕させ、その隙に組員たちが自宅に乗り込できたそうだ。女房子供を縛り上げて預貯金や隠し財産などの家捜し。他の組で拾って欲しければ……と言葉巧みに情報を引き出したようで、その証拠に用心のために運転手をやらせていた組員しか知らない愛人のマンションにまで乗り込んでやがったからな。株券や権利書、個人で貸し付けた金の借用書などの隠し資産はそこに隠していた。
気づけば自宅はおろか、高価な家財道具、高級外車、有価証券、ペットの血統書付きの犬までもが勝手に転売されていた。
もうやり返せないくらいに奪われたね。何の余力も、気力すら残ってない。終わったよ。新組長は生来の喧嘩馬鹿だから、反撃不可能なまでに徹底的に叩くってことを本能で知っているんだな。俺だったら生きていけるだけの物は残してやるんだけどなぁ……。金を持っているヤクザは身内に狙われる。ヤクザは本当に容赦ないからな。

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