ナックルズ的裏流行語大賞【6】
『永久に追放するべき』
リオ五輪代表の宮川紗江選手による、日本体操協会の塚原千恵子強化本部長と、その夫・塚原光男副会長のパワハラ告発が大きな話題となったのは、今年の8月。ワイドショーは、連日、塚原夫妻批判を展開してきた。
その急先鋒となったのが、元五輪銀メダリストの池谷幸雄だった
。
池谷の舌鋒が特に熱くなったのは、塚原夫妻が行っているとされる、選手引き抜きへの批判だった。自身も体操クラブを経営するなか、手塩にかけて育てた選手が、塚原夫妻の朝日生命体操クラブに引き抜かれそうになったことを振り返り、
「人としてやっちゃいけない」
といった人格否定から、なんと「永久追放にすべき」とまで発言。自身も深く体操業界に関わる身でありながら、勇気ある告発を繰り返す池谷は、各局ワイドショーで引っ張りだこになり、加速させていく過激な塚原批判が、連日、スポーツ紙やネット記事でも取り上げられ、広く拡散していった。
「暴力問題で、宮川選手の指導ができなくなっていた速見コーチが、騒動の早期収束をと、東京地裁に行っていた地位保全の申し立てを取り下げたニュースを受け、出演していた『バイキング』の生放送中に号泣。しかも、速見コーチを暴力問題で追放したのが、『塚原本部長だとしか思えない』とまで発言し、怒りをにじませたこともありました」(テレビ雑誌記者)
だが、速見コーチの暴力映像が公開され、塚原夫妻はむしろその処分について様々に苦労を重ねてきたことや、宮川選手の発言には多くの思い込みがありそうなことが、徐々に明らかになっていくと、坂上忍の『バイキング』(フジテレビ系)をはじめ、世論も塚原擁護に傾いていった。すると、世の中の関心は貴乃花問題などにあっさりと移行していったのだ。
久々のテレビ出演に張り切っていた池谷も、ピタリと呼ばれなくなったことは言うまでもない。しかも、一部では自身の過去のセクハラ問題が蒸し返されるという、いらぬお釣りをもらってのテレビからの退場であった。
「15年に、青森で行われた東日本ジュニア選手権の会場で、りんごのPRを行う『ミスりんご』のOG女性にしつこく迫った上に、彼女の尻を触るといった行為を繰り返したといいます。体操界でも大きな問題になりましたが、体操界のイメージにも影響力のある元スター選手ということで、塚原夫妻をはじめとする体操協会は池谷をかばい、これをなんとかもみ消して大ごとにしなかった。だからこそ、今も体操クラブを続けていられるわけですが、その恩を仇で返す今回の協会批判、塚原バッシングに、眉をひそめていた協会関係者は非常に多いんです」(体操関係者)
それこそ「永久追放」になってもおかしくない、「人としてちゃっちゃいけない」行為だったんじゃないかい? 先の世界体操2018で個人総合銀メダルに輝いた村上西山茉愛を育て上げ、体操指導者としては一定の評価を受けているという池谷だが、すぐに調子の乗ってはしゃぎ出す軽薄さは、かつての芸能活動をしていたころと全く変わっていなかったようだ。(でんぱた豊作)
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