「ドラマAD」と「バラエティAD」
ホントの地獄はどっち?
寝れない、帰れない
7月の番組改編を迎えて一斉に新ドラマがはじまった。
各局人気の女優や俳優をあつめて華やかな”番宣合戦”を繰り返しているが、その裏で過酷労働をしているのがAD(アシスタントディレクター)である。
ADの仕事は「地獄」といわれるが、その内情は言葉以上である。
「情報番組や報道番組もありますが、世間一般の方がADと聞いて思い浮かぶのはドラマやバラエティの現場のスタッフではないでしょうか。どちらも大変な現場ですけど、実はドラマのADの方が何十倍も過酷。あれは本当に生き地獄でした」
と語るのは過去に連続ドラマのADを8年程経験した制作会社勤務の現ディレクター。
そもそもドラマとバラエティでは収録にかかる時間が全く違う。
1時間の放送内容を制作するのに必要な時間は、ドラマが約1週間に対し、バラエティは数時間程。当然、それに携わるスタッフの就労時間が全く違うわけである。
「最初の数年は年に2作品ほど連ドラを担当していました。
撮影がはじまると最初の3ヶ月はほとんど家に帰れない。
3ヶ月で3回帰れればいいほうです。ここ数年は働き方改革の波が業界にも影響しているのでちょっとはマシになっていますが、10年程前は帰れないなんて当たり前でした。
当然睡眠時間もほとんどなくて、移動中にロケバス内でうたた寝するのと、深夜にスタッフルームで1時間ほど雑魚寝するだけが延々と続く感じでしたね」(前述ディレクター)
一方、バラエティーのADはドラマに比べるとまだましらしい。
「年末の特番ラッシュ時でも無ければ、ほぼ毎日帰宅してますし、飲み会なんかも行けますね。確かに収録の前日は制作ルームで徹夜で作業するのは当たり前ですが、それも2週に1日だけですから」(民放バラエティAD)
実はドラマとバラエティではADからディレクターへの出世のスピードも違うという。
「ゴールデンやプライム帯の規模の大きい連ドラは、演出のディレクターが3名いて2話毎に交代して担当するのが一般的。
対して同じ枠のバラエティは、ディレクターだけでも15人以上いる。人数が多い分、バラエティADはディレクターになりやすい傾向がある。
“ドラマ10年、バラエティ3年”なんて業界ではいわれていますよ」(番組プロデューサー)
今からADをやってみたいと思う人には、迷わずバラエティをオススメしたい。(瀬戸ジーニアス)
厳しい世界