【瓜田純士】歌舞伎町ホスト通いから、身を投げる迄に気づくべきこと

【飛び降り自殺続出】
歌舞伎町ホスト通いから、身を投げる迄に気付くべきこと。(瓜田純士)

瓜田純士
うりた・じゅんし。1979年、新宿歌舞伎町に生まれる。少年期を不良として過ごし、10代を暴力団に捧げて、獄中に。懲役で物書きに目覚める。著書に『ドブネズミのバラード』等多数。『遺書〜関東連合崩壊の真実とある兄弟の絆〜』がベストセラーとなる。地下格闘技やTHE OUTSIDERにはアウトローのカリスマとして参戦していた

「掛け」の本当の怖さ

前から、こちらで書くことを熱望して、遂には編集部にダイレクトコールを入れ、仕事にありついた瓜田純士です。よろしくどうぞ。

以前は頻繁に、それこそ街の風景の一コマ、新宿の風物詩的に起こっていたホストに通う若い女性の身投げ。
お目当てのホストに会うために足繁く通う女は、次第に貢ぐ金に困り果て、過剰なアルバイトや風俗で働くようになる。それでも擬似の愛に縋りつくが、最後はあっけなく捨てられ、雑居ビルの屋上から、飛び降り自殺をする者が後を絶たない。

歌舞伎町は浄化され、不良(暴力団)や、不良外国人は淘汰されて、五輪を前に、外国人観光客がTOHOビルのゴジラのモニュメント前でセルフィーで記念撮影を撮る、この至って平和な「歌舞伎町」は、90年代、歌舞伎町で不良をしていた俺には信じられない。当時は記念撮影どころか、撮影と言えば、Vシネか、実話ナックルズのカメラマンぐらいで、彼等でもパシャパシャやってると、ヤクザの怒号と共に、フィルムを取り上げられたりしていた。「何撮ってんだコラ」と。

そんな東洋一の歓楽街では、昔も現在も、定期的にカリスマホストが出現し、芸能人の女までが、高い酒や高級時計を目当てのホストに貢いだりしている。
昔から、彼等の人気は韓流ブームなんかとは違って、常に一定の層からの人気を獲得している。俺が当時新宿でヤクザ稼業に勤しんでいる時も、不良とは違ったタイプの”華”を咲かせていた。こちらは勝手に歌舞伎町と言えば不良のメッカであり、一番カッコいいと思い込んでいたけど、彼等ホストも、「歌舞伎町と言えば自分たち」と、思っていたんだろうな。

当時も現在も変わっていないのは、これはどこの世界も一緒だけど、成功しているのは一部と言うこと。当然、売れる前、まだ食べれていない、寮生活のホストの方が圧倒的に多い。彼等ホストは田舎から出てきて、整形までして、先輩ホストの見よう見まねでランクの落ちる服をなんとか着こなして、SNSを駆使したり、なんとか頑張っていると、なにかで聞いたことがある。

奴等も、店でスーツ姿で照明に当たれば、それなりに見えるのだ。
まだ若い女の客なら、まして、少しメンタルの弱い子なら、そんなホストにでも、一生懸命口説かれたら、アホみたいに落ちてしまう。落ちた後は尽くす。

これはアイドルに置き換えても言えることだけど、メジャーの、誰もが知ってるAKB48のような大所帯よりも、まだ売れてない地下アイドルの方が、応援されている。これは、彼女たちを自分たちが育ててるんだ、と言う親心みたいなもんなのだろうか? まだ二軍、三軍のホストに掛け(ツケで飲むこと)てまで貢ぐ彼女たちは、同じ心理が働いているのかも知れない。

当然、掛け金の回収にホストは動く。それまでどれだけ甘くささやいていても、豹変して「金払え」と始まるのだからひとたまりもない。心身共に疲れ果てた彼女たちはすべてを忘れてしまおうと、屋上に上がる。このパターンをはっきり言って何十年も繰り返してる。

一つだけ負の連鎖を断ち切る方法がある。
どの店も、「掛け」で飲ますのを辞めればいい。無いやつは来るな。金を払える奴だけ来いと。

それをやらないのは、彼女たちから吸い尽くした後は、「自殺までが一連の『流れ』だからな」、と、暗黙のルールでもあるのかと思ってしまう。外国人観光客に合わせた、本当の「優良店」を目指したらいいんじゃないか?

Leave a Reply

Your email address will not be published.