250万人に1人…顔と脳が「2つ」の赤ちゃん

250万人に1人…特異体質の顔と脳が「2つ」の赤ちゃん

政府の支援はまだない

生まれつき体の一部が結合している双子、いわゆる結合双生児は20万件に1組の割合で誕生するといわれている。
7月末、この結合双生児に関する珍しいニュースが飛び込んできた。インドネシア西部・バタム島で暮らすギラン・アンティカちゃんは、生後2ヶ月の男の子。彼の胴体と手足は1人分だが、ひとつの頭に 顔と脳が「2つ」存在している。
原因は、多くの結合双生児と同様に受精卵の異常と言われているが、非常に稀なケースだという。医学的には胴体と手足はギランちゃんのもので、彼の“兄弟”にあたるもうひとつの顔と脳は、自らの身体を持たないまま胎内で育ってしまった。
そのため、ギランちゃんの身体に取り込まれるような形になってしまったとのこと。
このような特異体質のため、ギランちゃんは授乳することができず、チューブを通して栄養補給しなければならない。さらに、重度の水頭症(脳へ流れ込む髄液の量に変化が生じ、脳を圧迫することで言語や視覚などに重大な障害をおよぼす病気)も患っている。

インドネシア・パタム島にいるギランちゃん写真

インドネシア・パタム島にいるギランちゃん。なんとか助けてあげたい

ギランちゃんの母親は妊娠中に3度の超音波検診を受けていたが、息子の抱える異常を発見することはできなかった。当時、医師からは「若干の頭部肥大が見られるが、問題はない」と診断されていたという。両親はギランちゃんの“兄弟”が手術によって分離されることを望んでいるが、バタム島にはそのような手術を行える医師や設備が存在せず、首都ジャカルタの病院に移るしかないという。
地元メディアの取材によると、両親は医師から「250万件に1つの症例。残念ながら二人とも長くは持たないだろう」と告げられている。ひとつの頭から顔と脳、そして頭蓋の一部を取り除くという手術はかなりの難航が予想され、ギランちゃんの体力が持たないとの結論だった。また、仮に手術に成功したとしても、重大な障害が一生ついてまわるという。
似たような症例は2014年にオーストラリアでも確認されているが、こちらの双子は生後19日で短い生涯を終えている。
しかし、両親はあきらめていない。ジャカルタへの転院費用を工面するため、政府やメディアに支援を働きかけている。母親のエルリンササリさんは地元メディアに対し「地域社会からの支援はすでに存在するが、政府としての支援はまだ何もない。皆さんの助けがまだまだ必要です」と訴えた。
息子を救うための悲壮な戦いは続く。(ゼロ次郎)

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