関係者リレー連載 今週の裏「週刊文春」Vol.12もうスクープは売れない?

Aさん(年齢非公開)
元大手紙記者。トップアイドルの数々のスキャンダルを暴いたことで知られる

塚原ネタでウハウハ……だけど

体操界の女帝こと塚原千恵子強化本部長を左トップの目玉記事で取り上げた9月13日号の文春がバカ売れしたらしい。
記事では、宮川紗江選手を平手打ちした速見コーチを非難し、登録抹消に追い込んだ千恵子氏こそ、過去に暴力指導を発動していた張本人だったというもの。世間の共感を得たんだろうな。
たしかに、トラのような千恵子は、ヒールにはうってつけの風貌ともいえる。文春は久しぶりの売れ行き好調に気分を良くし、その翌週号(9月20日号)では、右トップで関連記事を展開していた。内容は同じく、塚原夫妻の暴力指導がどれだけ酷いかというもの。記事中には塚原光男副会長の一問一答が掲載されていたが、全体を通じて読むと、いかに塚原夫妻が極悪非道かがわかる内容。代理人の佐藤大和弁護士が、またツイッターで吠えそうですね。
「一方で、塚原夫妻のインタビューを通じて擁護記事を掲載した新潮は、まったく売れなかったんですよ。文春にダブルスコアを付けられて、大負けでした。世間の逆張りをしたのが裏目に出てしまった」(出版関係者)
週刊誌の編集長は、世間の風を読まないといけない仕事。世論に逆らうような方向性の記事を出しても、全然売れないんだって。
たとえば、舛添要一が知事だった頃、誰もが「怪しいな、このおっさん」と思っていた。そんななか、舛添にまつわる文春砲が炸裂し、それに世間が共感。ジワジワと辞任に追い込んでいった。でも、風向きを間違えると目も当てられない状況になる。文春の場合、教訓となったのは小室哲哉の一件だな。
「不倫を暴いて世間から猛バッシングを浴びた。しかも、掲載号はここ数年では珍しいほど売れなかったんだ」(同前)
独り相撲では雑誌は売れないということか。でも、文春のベテラン記者に言わせれば「売れるものばかり取り上げても雑誌は廃れる。売れなくても価値のあるスクープを掲載したほうがいい」ということになる。要は、バランスなのかなぁ。

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