掴んだ客をシャブり尽くす
確かにかつてとはやり方は大幅に変わったらしい。警察の締め付けはもちろん、マンガやテレビで知恵をつけた客はすぐに弁護士や警察に助けを求める。まずそこを抑えるのだという。
その方法が、「なだめすかして、とにかく優しく」らしい。当然、飛ぶ客は増えてしまうが、その分をどう埋め合わせするか、そこに生き残りのポイントがあるという。
「何も目新しいことをやってるわけじゃない。要は“逃げられないヤツ”を客にすればいいってことだろ? 旦那のカネを使い込んだ主婦、これは総量規制でサラ金からカネが借りられないから闇金に流れてくる。飛べば旦那にバレるから絶対に飛ばないわけだ。
それから裏に足を突っ込んでるヤツ。メインは裏カジノで借金した人間だね。これは警察に泣きつくことはできないからいける。で、一番いいカモは、警察官、区役所職員とかの公務員だ。サラ金だとデータバンクに記録が残るから、内部で調べられたら出世に響くだろ。だから闇金へ来るわけ。
俺の所なんてガサにきたサツが競馬狂いで、そのあと客になったくらいだ。サツはギャンブル好きが多いから、客のネットワークが一気に増えたんだよ」
だが、驚くべきことはここではない。法改正で客が増え、そして飛ばない客を選別し、その先に現在の闇金の最大の儲けが生まれてくるという。
「いってみりゃ、副産物だ。主婦は返せなきゃ風俗に売り飛ばす。どんなブスでも店はとりあえず雇ってくれるからな。男ならマグロ(漁船)ね。このあたりは変わらない。
一番おいしいのが、“名簿”だよ。名簿屋なんて今はいないっていわれてるけど、さっきもいった公務員とか“飛ばない名簿”は確実に高値で売れる。“貸せる名簿”の時代じゃないんだ。
あとは、“同業喰い”ね。他の闇金で借りさせてこっちに返させるのは昔は邪道っていわれてたけど、今はそんなこと構ってられねえよ」
掴んだ客を二度も三度もカネにする。これが新時代の闇金の姿なのだ。
Leave a Reply