アウトロードキュメント:武井勇輝(31)前編

どうせやるなら一番に

――つまりステップアップして行くための過程として格闘技があった、と。
うん。何かのためのツールじゃなくて、自分のこの先のためのツール。
だからそれに特化されたくないんスよ。
あの頃「格闘家」って紹介されるとすごい嫌でしたね。
「俺は格闘家じゃないっスから」ってすぐ否定してました。
――とはいえ学歴もない人間がまず名前を上げるために、一番手っ取り早かったのが暴力ということですか?
いや、格闘技って暴力っていうか、“根性”なんじゃないんスかね?
何事にも負けない心っていうか。
でも俺はあの頃から格闘技で一生飯食おうとか1ミリも思ってなかったし。
どうせやるんだったらその競技で一番になりたいっていう気持ちはありますけど、でもなんの一番でもいいんですよ。
「一番強い」でもいいし、「一番目立つ」でもなんでもいい。
そこがクリアできて、それ以上跳び箱にならないんだったらやる意味がない。
だからアウトサイダーも契約残ってたけど、前田(日明)さんとこに「辞めます」って言いに行って。
――もし武井さんがあの頃のような二十歳そこそこの若者だったら、何を“ツール”にしてますか?
それはわかんないっスね。その時の自分が何をしてるかによるんで。

地元の西川口駅前にて-武井勇輝(31)-

地元の西川口駅前にて

――『高校生ラップ選手権』とか流行のフリースタイルバトルを見てると、昔の『THE OUTSIDER』に近いような気がするんですが。
そうっスね、あれなんかまさにツールですね。
俺もガキだったらやってたかもしんないですね。
今の若者も同じじゃないですか。
バトルで名前売ってCDを出すっていうの見てるとツールがちがうだけで俺らと変わんない。
――現在はラッパーとしても活躍されてますが、武井さんにとっては音楽もやっぱり“ツール”なんですか?
ある意味ではそうだけど、ある意味じゃちがう。
音楽はずっとやりたかったことだし、今ももちろん好きでやってるけど、なんつうか……簡単に言えば、シノギとも言えるかもしれない。
だって俺は生きてるという事、全てが仕事だから本業は「武井勇輝」かなって。
MC名とかもつけてないんで。
後編へ続く>>

左脚には「大和魂」の文字-武井勇輝(31)-

左脚には「大和魂」の文字。気持ちが強くシンプルな彼に良く似合う

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