アウトロードキュメント:武井勇輝(31)前編

不良少年の常識を突破する男の「今」

武井勇輝(31)ラッパー/アーティスト 前編
text&photo=鈴木ユーリ

職業は武井勇輝

「武井サンですよね? いつも歌めっちゃきいてます!」
撮影を終え、インタビューのために入った中華料理店だった。
日本語にまだ訛りがのこる中国人店員の青年が、感激の表情でサインを求めてくる。
Tシャツにサインする武井勇輝(31)-

インタビューのため訪れた中華料理店でファンに遭遇。Tシャツにサイン

武井勇輝、31歳。
今はラッパー/アーティストとして知られているが、それ以前は『THE OUTSIDER』を主戦場とする格闘家、オラオラ系ファッション誌モデル、アパレルブランド『CORVO』デザイナー……
一体いくつの肩書きを持っているのだろう。
400枚をこえる自筆原稿を出版社に持ちこみ、自伝小説を出版したこともある。
「いや、そうやって何かにくくられるのが一番嫌いで。
俺の肩書きは自分。“武井勇輝”しかないから」
闘犬のような顔でそう語る、不良少年の常識を突破してきた男の“今”に迫った。

最近は居心地の良い西川口で飲むことが多いですよ-武井勇輝(31)-

最近は居心地の良い西川口で飲むことが多いですよ

――武井さんが最初に世に知られたのは『THE OUTSIDER』ですよね。
そうっスね。最初はアマチュア修斗でやってたんですけどアウトサイダーが出てきて、「これは行くしかねえな」って出場しました。
あの場所に立ったら絶対まわりから頭ひとつ出て目立つと思ってたんで。
――大会の初期主力選手として活躍し、トーナメントや対外戦などにも出場してましたが、『THE OUTSIDER』時代は今振り返るとどうですか。
アウトサイダーは……ツールですね、名前売るための。
完全にツールって最初っから思ってた。
特攻服で入場するのとかも、まあ子供だったからイキりっていうかそういうのあったかもしれないけど、一番は目立ってやろうと思ってやってたから。

冗談を交えリラックスした表情でインタビューに応えた-武井勇輝(31)-

冗談を交えリラックスした表情でインタビューに応えた

――でも格闘技って単に“ツール”として考えるには、痛みもともないますよね?
痛いことしてでもやらないと、次が見えてこないじゃないですか。
でもツールって言っても簡単に思ってほしくないっていうか。
軽く感じ取れちゃうかもしれないけど、その先の自分のために本気でそれをやってる。
単に利用してるだけってことじゃなくって。
瞬間瞬間は本気で。
でも死ぬまでそれ一本に賭けてやりたいっていうわけじゃなくて、全部その先の自分のためにやってるってことだから。

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