【追悼】ショーケン
知られざる「スリッパに画鋲事件」
収録現場で事件発覚
でも怒りはしなかった
「太陽にほえろ!」、「傷だらけの天使」、「前略おふくろ様」など名作ドラマで人気だった名俳優、ショーケンこと萩原健一さんがGIST(消化管間質腫瘍)で3月26日に死去、68歳だった。
私生活では女優いしだあゆみらと4度の結婚のほか、岸恵子や桃井かおり、倍賞美津子、石田えりら人気女優らとの交際が絶え間なく世間を騒がせ、大麻所持、飲酒運転、交通事故、映画関係者への恐喝で4度の逮捕歴があり、週刊誌記者ら報道陣への暴行で書類送検されたこともあった。
役者としてはカリスマ的人気を誇りながら、あまりに自己中心的なキャラクターでトラブルも多かった。テレビ関係者はこう証言する。
「トラブったエピソードは300ぐらい知ってる。俺も顔にコーヒーをかけられたことだってある」
逆に萩原さんを「器の大きな人だとしか思わなかった」と話すのは、「少し前」に萩原さん出演仕事に携わった人物だ。
「私は昔のことは知りませんが、ショーケンさんは嫌がらせに遭っていたのに、まったく気にしていなかったんですよ。ある収録でショーケンさんの私物に、道具制作で使うシンナーがかけられていて、さらに靴に画鋲が入れられていたんです。明らかに嫌がらせなので警察を呼ぼうかという話になったんですが、ショーケンさん自身が『大事にするな。警察にも事務所にも言わなくていい』と終わらせたんです。で、仕事が終わって帰り際、ショーケンさんは『こういうの俺が昔やったことだから根に持たれたんだな』と笑って言ったんです。だから器が大きい人だなあって思いました」
破天荒な男だけに、恨みを買っていた可能性はある。往年の芸能記者も「ありそうな話だ」と言った。
「まあ色々ありましたよ。撮影中に萩原さんの名前を騙って高級飲食店の打ち上げ予約が取られたり、なにかと嫌がらせの被害があった感じだったからね。3年前ぐらいには、ある二世女優が萩原さんの隠し子だとするタレコミもあった。女優の母親が萩原さんとウワサになった人で、血縁関係を示す証拠書類まで週刊誌に送られてきたそうですが、書類は偽造。そこには業界人しか知らない萩原さんの個人情報が書かれていたので、身近な犯行だろうと言われていましたよ」
一様に聞かれるのは、被害に対して萩原さんが怒っていなかったという話だ。晩年、闘病中であることを表沙汰にせずハードな収録もこなしていたというから、そこには男の美学があったのだろう。
「身勝手なキャラで知られたショーケンだけど、そういう自分の性分を本人が誰よりも自覚していたんじゃないですかね」と芸能記者。
恨まれ、愛された人生だった。(片岡亮/NEWSIDER)
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